再建中の東芝が白物家電、パソコン、医療機器などを売却する方針を示し、シャープはホンハイ精密工業による買収の見通しですが、何らかの事業を撤退することになるのではないでしょうか。一方で、掃除機や布団クリーナーでは老舗のダイソンや、新興のiRobot、レイコップ、あるいはフライパンなど調理器具メーカであるティファールの電気ケトルなど、専門的なメーカがこの10年くらいの間に、かつては圧倒的なブランド力を誇った総合家電メーカの国内シェアを奪っています。
また、金融ビッグバンと言われた規制緩和を背景に、インターネットの普及もあり銀行や証券会社などにおいてネット専業の事業者が数多く生まれ、従来の銀行は同業との統合によりメガバンクが誕生し、ノンバンクの吸収、ネットバンク・ネット証券の進出等によりさらに巨大化し生き残りをかけています。
総合的な商品・サービスを提供するのと、専門的に提供することのどちらが良いという事でなく、総合的な企業は事業部制やカンパニー制、最近では持ち株会社などによって、商品・サービス毎に儲けを明らかにして、責任と権限を与えていますし、強者の戦略として総合主義というのは、王道と言える戦略です。
軍事理論をモデルとして経営戦略・営業戦略として応用されているランチェスター理論では、弱者は一点集中主義、一騎打ち戦といった戦略がとられるのに対して、強者は弱者に攻められないよう隙間を埋める戦略を取るとされています。
ここでは強者とはシェア1位を指しますが、グローバル市場か国内市場か、特定の売り場でのシェアなのかで戦略は異なってくるでしょうし、粉飾を行った東芝のように自らの部門別業績を把握してなければ適切な戦略を作ることはできません。またシャープは不採算部門の撤退が遅れたとも言われていますが、弱い部分を把握したら素早い判断が必要なのだと思います。(マエダ)